兜の立物の種類

兜には鉢につける金物飾りがあります。
それが立物といい、武士の時代には存在を誇示するために付けられました。
立物の種類は豊富にあります。
買取人気の兜にとってなくてはならない立物について紹介します。

◆龍
平安時代末期頃から用いられ、軍記物や絵巻物に表現されていますが、その表現も時代によって異なります。
初期の物は上唇が長く鬣があり、格調高いものですが、時代が下るにつれ現在の龍の表現に近くなり、顔のパーツも小振りになりました。
立物としても、眉庇に付ける物から頭上に置く物まで様々ですが、半身のものは眉庇に、前身の物は頭上に置かれる事が多く、中には前立に前身の龍を付けたり、翼を持った飛龍と呼ばれるものや宝珠を掴んだ爪を前立にしている物もあります。

◆獅子、鬼
獅子は、仏像の神将武装像の影響からか、古くは鍬形台の獅噛として用いられた。
時代を経るに従い獅子の顔は独創的になり「魅」の字が当てられました。
さらに威嚇的に鬼の顔に似ていったので、鬼面獅子とも呼ばれました。
獅子が鬼面獅子のように鬼に近付いた為か、鬼を用いた立物は少なく、森長直が用いた鬼瓦のように間接的な表し方が見られます。

◆高角、角
鍬形に似た物に高角があります。
「平治物語」では、源義平が高角を打った兜を着用したとあり、鍬形の先端が開いた形に対して、尖った形の物であるとされています。
このような尖った物の中では、長大な物を天衝(てんつき)といい、金銅や檜の薄板等で作製されましたが、一枚物や中央で分割された二枚物の前立式、脇立式、後立式などがあります。
井伊家所蔵の天衝は有名で、約1mもある。

◆日、月
日や月をモチーフにした立物も多く、自然信仰や輝きの象徴として好まれた物でありますが、日月を共に用いるのは摩利支天信仰からでしょうね。
立物としては、太陽を表す時は朱塗りか金色、月を表す時は銀箔押か銀陀美で銀色にします。
代表的なものとしては、新月をかたどったと思われる繰半月、八日月と呼ばれる半月、満月があり、雲を合わせた日輪に雲等がある。
上杉謙信所用の兜の前立ては日月で、摩利支天を象ったものと思われます。
伊達政宗の三日月も有名ですが、伊達政宗の前立は細く、新月の可能性もあります。
日を立物とした有名な兜は、松江藩所用の日輪、河尻秀隆の日輪に熨斗等があります。

◆扇
扇は吉事に用いられ、武用の物もあって武将には身近なものでした。
「太平記」にも開扇の前立に関する記述があり、一枚の物や開扇を二枚上下に重ねた物、閉じた扇を後立にした物等があります。
また軍配団扇は家紋にもあるように、立物にも軍用を尊んで用いられ、羽扇は天狗信仰から来ています。

◆動物
動物をモチーフとした立物も比較的多く、代表的なものとして、狐を立物とした兜は稲荷信仰を表しています。
兎を立物とした兜はその敏捷さにあやかってのものであり、兎の耳だけを脇立に用いた物もあります。
また、素材として動物の毛が用いられた物も多く、熊毛の頭立や毛の棒などがあります。
吉祥な亀を使った大関増栄の霊亀等は有名ですね。

◆魚、貝
魚の中にも特徴や信仰を表すものとして、地震を起こす鯰や虎魚などがありますが、その他の貝等は見栄えが良いという理由で用いられる事が多くあります。
伊太良貝や帆立貝がそうで、長い海老尻や左右に広がる海藻もそうです。
これらを合わせた帆立貝と海藻という立物もあります。
見た目が美しい巻貝や、蟹をモチーフにした物もあります。

◆神仏
信仰深い武将は、その信仰を立物として用いる例が多くありました。
天狗も信仰された一つで、天狗そのものをあしらった烏天狗や、扇の項でも出た羽扇、風車もそうです。
仏具や神具をモチーフとした物も多岐に渡り、如意や独鈷、三鈷、払子、錫杖、護符などがあります。
宝珠は種類が多く、前立や頭立、三宝珠や前出の龍の爪と宝珠、蓮華の頭立に宝珠の前立とした物や、凝宝珠(ぎぼし)と呼ばれる寺の屋根や橋の欄干に見られる物まであります。

◆器物
器物は武将の考え方や思想を表した物が多く、その種類は実に多い。
代表的なものとして巻物や筆等の文具、鉈や斧、鎌、鋸等の刃物類、柄杓や茶筅等の茶器、笙や律管、琵琶の撥、洞蕭等の楽器類があります。

◆家紋
家紋には植物から動物、鳥、虫、器物、文字まで様々な物があり、家紋を立物とした種類も数多くありますが、家紋は一般的に図案化されている為、そのままかたどった物よりも象徴的な形となっています。

◆輪
抽象的な物の内、立物に使われることが多いのは輪で、輪貫は徳川家の合印でした。
太い輪は蛇の目もしくは弦巻と言い、輪の中にいの字をあしらった丸にいの字は一番の意を表しています。

その他にも多くの種類があります。
兜の決め手にもなる立物は形も様々で特に決まりがないようです。
買取店でも兜の買取は高額査定になりやすいので、種類や武将によっての違いを知っておきたいですね。

Menu

HOME

 TOP