時代による兜の変化

歴史ブームもあり、買取業界でも鎧や兜は人気です。
形も様々な兜は時代によってどのように変化していったのでしょうか。
時代の変貌とともに変わっていく兜について知ってみましょう。

◆鎌倉時代
建久三年(1192年)に源頼朝が征夷大将軍になり、武家勢力による幕府体制が始まりましたが初期の間は、反乱分子の征討や重臣間の勢力争いがあり、幕府は決して安定したものではありませんでした。
こういった時代背景から甲冑の需要があり、兜もそれに伴った進化が見られます。
鎌倉初期の兜は、基本的には源平が争覇した時代の流れを継承していますが、兜鉢の肩にやや膨らみが出てくるようになり、天辺の穴が僅に縮小し、矧板の数も二十間前後から三十二間前後に増えていいます。
そして上等品の篠垂には二方白、四方白が用いられています。
直線的に斜め下方に広がる形から、やや裾広がりの角度が強くなって笠の原型になり、吹返しは反りが強くなって曲線的に反転していく傾向があります。
そして、星鋲の大きさは前代よりも小さくなります。
緒の穴は二孔式から四孔式が多くなります。
鎌倉中期になると、政情も安定しはじめ、武士の晴れ着である甲冑も自然と華やかなものが好まれるようになりました。
天辺の座や鍬形台に精巧な彫り金物を用い、鍬形も長鍬形や大鍬形が用いられました。
兜鉢自体も精巧になり、矧板の増加とこれに伴う星鋲の小型化と数の増加、篠垂も片白から八方白まで種類の増加が見られます。
また、結髪風俗もこの頃からは乱髪で兜を被ったようで、天辺の穴は前時代よりも小さくなっています。
鎌倉末期から南北朝時代にかけては、戦乱が多くなり、兵員も大量に動員されるようになってきたので甲冑の需要も盛んでした。
この時代の流行は依然星兜でしたが、時代背景から新たに筋兜と呼ばれる兜が登場します。

◆室町時代
室町時代に流行したのは、阿古陀形筋兜及びそれに類した筋兜ですが、阿古陀形の鉢の大型化は、重量軽減の為に薄鉄作りや小さい鋲留にならざるを得ず、脆いという欠点がありました。
室町末期の戦闘の激化によって、甲冑もいろいろと改良されて突(とっぱい)や頭形(ずなり)等の新形式を生みましたが、旧来の縦矧板構成では、厚鉄作りや矧板の二重重なりが作られ、その結果五十間以上六十二間までの筋兜や、これを小星鋲で留める小星兜が作られるようになったのです。
小星は矧板が外れるのを防ぐ為に数多く打たれ、その分の重量が重くなるので矧板は薄くなりました。
また、敵の打撃による衝撃を少しでも軽減する為に、二重重なりの部分に空間を作ることがされ、鍛えを重視してそれまで漆塗りの多かった兜鉢も、鉄地のままの、錆地の兜鉢が流行しました。

◆戦国、安土桃山時代
室町後期に当たる戦国時代から安土桃山時代にかけ、日常的な戦乱や戦闘員の増加があり、歴史上最も甲冑に対する需要が高い時代と言えます。
そのような時代背景から、兜は量産に適した物が流行し、武将の自己顕示欲を体現した「変り兜」と言われるものも数多く登場しました。
突は尖った兜という意味で、天辺が尖っている形式の物は全て当てはまりますが、その中でも膨らみのある物や痩せた物、錐のように鋭利に尖った物等、その形によって様々な種類があります。
天辺も狭く、小さな天辺の座を付けた物や穴だけの物、尖ったままで穴の無い物など様々で、一枚張から数枚の縦矧板で構成されています。
一枚張の角先形は、一枚の鉄の端を中心に巻き合わせるだけで容易に作製でき、椎の実形や柿形も同型の部品を必要に応じて打ち膨らませれば容易に作製できます。
突はこのように量産に向いていますが、筋兜のように数多くの矧板を使い、覆輪や篠垂を置いた精緻品もあるのです。
この時代に登場した変り兜というのは、それまでの星兜や筋兜に対して付けられた現代の名称で、それぞれの変り兜には表現された名称があります。
大型の物でも重量に限界があり、総じて軽く作られていました。
この時代には特徴的な兜がもう一つあり、紀伊国雑賀発祥の雑賀鉢と呼ばれる物があります。
その形式は七、八枚張の衝角付兜に似て、矧留鋲は鉄の座星を使い、眉を打ち出したりして異国風に見えます。

◆江戸時代
江戸時代は、前時代の形式の兜や変り兜の他に、泰平による尚古趣味の物が作られました。
これは、古式といっても大円山形で、星も筋の間に打ったり、上に行くに従って小さくなる厘劣りの星でした。
また、鍛えの良さを見せる為に重厚な地としており、室町時代の阿古陀形と比べると、大きさは同じでも重くなっています。
天辺の座や篠垂も古い様式とは全く違う物もあり、特に天辺の座は八幡座、神宿(かんやどり)と称して装飾化され、も吹返しも鍬形台も誇張されています。
これは泰平武士の装飾甲冑嗜好の表れです。

時代背景から兜の形も製法も変わり、現在まで受け継がれてきました。
兜をお持ちでしたらいつの時代のものかを知っておきたいですよね。
兜の知識を持って兜買取に活かしていきましょう。

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